ローカル線の廃線!
昨年全国でいくつかのローカル線が廃線された。コロナ禍で利用者が極端に減少してしまったとの理由だが、その前から利用者は徐々に少なくなっていたそうだから、当然の成り行きかもしれない。一昔前に旧国鉄が民営化され、JRとして再出発した。民営化されたJRは、稼ぎ頭の新幹線に莫大な資金をつぎ込み、それなりの業績を上げ潤ったが、新幹線以外の地方路線は置いてきぼりをくらい、利用者は激減し廃線につながってゆく。この原因は、民間企業として生き残りをかけるJRにとっては、収益のよいものだけに目が行き、悪い地方路線をないがしろにした結果に間違いないだろう。
さて私は仕事柄、世界の国々に行く機会が少なくないが、日本ほど鉄道路線がいたるところに張り巡らされている国など世界には存在しない。例えば北海道や九州の人里離れた地方に行っても、一日数本走るだけの路線が今なお存在していること自体、まさに驚きであり自慢でもある。
従来の国による管理から、民間であるJRに移管されたことから、自ら収益を上げなければならない。その意味で現状の赤字路線を廃線にせざるを得ないのはわからなくもないが、明治以来人々に慕われてきたローカル線を、収益だけで廃線にしてしまうこと自体、大きな歴史的遺産を失うことになるだろう。鉄道だけではない、地方の路線バスも同じ危機に直面している。今こそ地方の鉄道や路線バスを救うためにも、行政の無駄金をこちらに回すべきなのである。